リワークとは
Return to Workの略語。
気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けた精神科リハビリテーションを実施する機関で行われているプログラムです。
リワークの概要
- 規則正しい生活
体調不良や用事のない限り、毎日参加するよう努めましょう。
デイケア;10時開始・16時終了、ナイトケア;16時開始・20時終了です。
デイケア;原則:3時間以上参加ですが、集中力を配分しつつ、最後まで参加することを目標としましょう。 - 食事の管理
自立するためには、炊事・洗濯・掃除など、自分一人で行えるようにならなければなりません。
特に食事は健康の基本ですから、栄養知識・調理方法などを学びましょう。 - 適度な運動
生活習慣病を防ぐため、食事の管理と並び、規則的な有酸素運動が必要です。
毎日30分以上のウォーキングを日課としましょう。 - 振り返り
病気=遺伝×環境 によりますから、ご自身の遺伝と環境について振り返りましょう。
それには、ご両親からご親戚やご両親に関する昔のお話をうかがったり、ご自身の幼少期・学童期・思春期のお話をうががう必要があります。
そして、うかがった内容やご自身で振り返った内容を書き出し、文書 (Word, Excel, Power Point) としてまとめましょう。
精神科は、これらを「家族歴・生活歴・現病歴」と呼称しますが、銀座泰明クラブでは、「家系図・自分史」と呼称しております。
そして 、再燃を予防するため「自分取扱説明書(取説・トリセツ)」を作成することを最終目標とします。 - 参加期間
職場に戻るためには一般的にリワーク(復職訓練)に最低3ヶ月、平均6-12ヶ月間を要します。
もしくは、休職期間(安静療養に要した期間)の2倍の期間をリワーク(復職期間)に要すると言われています。
しかし、目先の給与や雇用のため約 2-4 週間の休職期間にて復職を希望される方が少なくありません。
その結果、産業医・人事部より復職不可となるか、再燃して再休職されていらっしゃるようでようです・・・ - 復職の可否
復職の可否を決定するのは産業医・人事部であり、主治医ではありません。
本人が主治医へ早く復職を希望し、復職可の診断書を得たとしても、許可されるとは限りません。
抑うつ状態から改善したり、気分の波が安定したりすることは、もちろん重要です。
さらに、その背景に存在する「遺伝素因・家族歴・生活歴・病前性格」などを直視し、再燃予防のための対策を十分に考察する必要があります。
そのためには、少なくとも3ー6ヶ月間かかりますし、とてもお一人で行える作業ではないでしょう。
リワークの詳細
復職するためのTo Do List ! | その根拠・説明など |
1. 生活行動記録表 | 早寝早起、規則正しい生活、その記録 |
2. リワーク参加記録 | 外出習慣、社会性の回復 |
3. 家系図・自分史(家族歴・生活歴・現病歴) | 自分・家族・親戚を含めた病気の理解 |
4. 自分取扱説明書・未来計画表 | 再燃予防計画書、 |
5. 復職準備性の確認 | 寛解し、就労に耐えられるか |
*主治医<産業医・人事部の診断・許可 | 復職を許可するのは「職場」である! |
- 「家系図」とは親子兄弟の関係をわかりやすく図式化したものです。
- 「家系図」を作成することにより「遺伝素因」のみならず、自分の「家族歴」なども「視覚的・客観的」に把握することができます。
- 「ジェノグラム(genogram)」とは、援助者が、利用者を中心とした家族関係を 理解するために作成される図のことです。
- 「文章」で「家族・姻戚関係」を説明するより、 本人の周囲の人間関係が「一目」で把握できます。
- さらに、 離婚・死別など家族状況や家族内支援の「キーパーソン」を同定できます。
- 「家系図」とは親子兄弟の関係をわかりやすく図式化したものです。
- 本人を中心に父方と母方の両家を一枚にまとめて書き込みます。
- 「家系図」を作成することにより「遺伝素因」のみならず、自分の「家族歴」「生活歴」なども「視覚的・客観的」に把握することができます。
- 各自は男女それぞれ□と〇で表します。
- 夫婦関係はそれそれ横線-で表します。
- 血縁が明らかな近親婚は二重線=で表します。
- 世代間は縦線|で表し、兄弟姉妹は横線-を引き、各自を枝線でつなげます。
- 病気の明らかな個々人は■●、保因者は[■][●]、流産/死産は△で表します。
- 世代番号は大文字ローマ数字、各世代の個人を示す番号はアラビア数字で表します。
- 死者は右上から左下への斜線/で表します。
- 家系調査、家系図作成の契機になった個人を「発端者」といい、矢印↑で表します。
- 自分の半生の出来事を「文章化」したものです。
- 自分の半生を振り返り、後半の人生を「より良く生きる」ための方法となります。
- 自分を好きになることができる、「自己肯定感」が上がります。
- 楽しかったこと・辛かったこと(病気など)も「受け容れる」ことができるようになります。
- 「あるがまま」の自分に気づき、「あるがまま」の自分を生きることができるようになります。
- 楽しかったことも辛かったこと思い出しましょう。
- できる限り「客観的」な記載に努めましょう。
- 写真、アルバム、思い出の品、日記、手紙、本、レコード・CD・DVDなどを見返しましょう。
- 「年表」を作成し、小学生・中学生・高校生、10代・20代・30代・・・など分類しましょう。
- 人生の大きな「決断」「逆境」「分岐点」などは重要視しましょう。
- 些細な出来事も「箇条書き」にしてみましょう(自由連想)。
- 各年代毎に「エピソード」を挙げてみる(人・物・出来事など)
- その年代の「エピソード」もあれば、人生を通した「エピソード」に気づくこともあります。
- 「自己理解・管理」さらに「自己肯定・受容」などの過程を「言語化」「文書化」したものです。
- 「家系図」や「自分史」をもとに自分の「長所・短所」「強み・弱み」を知るために作成します。
- 「障害」から「回復」し、自分の「強み」を活かし、「自己肯定感」を高めることにつながります。
- 「リスク」「トラブル」への対処方法を明示し、速やかに「回復」することができます。
- 「あるがまま」の自分を理解し、「あるがまま」の自分を「受容」できるようになります。
- 「目次」を作成しましょう。
- 「重要事項説明書」:自己紹介、氏名・年齢・性別・職業・家族など記載しましょう。
- 「自分の説明」:「自分史」を要約する、特に「現病歴」を簡潔に要約しましょう。
- 「リスク」を列挙する:「再燃・再発」に関わる「早期警告サイン」を列挙しましょう。
- 「故障かな?」“F&Q”「早期警告サイン」への「対処方法」を作成しましょう。
- 「保守(お手入れ)」:「健康状態」を保つため「余暇」や「趣味」を充実させましょう。
- 「図・表・イラスト」:「自分史」の年表、対処方法のフローチャートなど挿入しましょう。
- “Excel”により作成するのが合理的です、不慣れな方はこの際、習熟しましょう!
- 「健康」「金銭」「仕事」「勉強」「家族」「趣味」などを縦軸、「時間」を横軸としましょう。
- 「人生塞翁が馬」という故事成語があります。人生の禍福は転々とし、予測できないと という意味です(昔、中国の北辺の老人(塞翁)の飼っていた馬が逃げたが、後に立派な馬をつれて帰ってきた、老人の子がその馬から落ちて脚を折ったが、そのために戦争に行かずにすんだということから)。
- 「計画」は「目安」とし、一喜一憂せず、「想定外」の人生も楽しみましょう!
- 主治医の診断書・診療情報提供書; 「生活行動記録表」「リワーク参加状況」などが、前提となりつつ、「職場復帰準備性」(別紙)を満足していること、「自分取扱説明書」(当院)を添付することが望まれます。
- 産業医・人事部の判断;職場復帰を決定するのは「職場」です。
- 職場復帰の相談;勤務部署・内容など相談しましょう。
- 経過観察;無理せず、再燃予防に努めましょう、少なくとも半年間は現処方を継続しましょう。